ねるまで昼

おいしいクッキーだけ

2019-01-01から1年間の記事一覧

分かったつもりで

階段下収納に悪魔を飼いはじめて、もう半年になる。名前はない。あんまり喋らないし、男なのか女なのか、べつに性別とかはないのか、知らない。たまにポン菓子をあげると喜ぶけれど、夜行性なので昼間はずっと眠っている。わたしは夜眠ることにしているので…

天使の頭ふたつぶん

冬の寒さがわたしに想起させるものはすべて、瓶の中に入れてコルクで封をしてしまったビー玉みたいなものである。一つ一つを取り上げると、どれもとりとめのないものだ。およそ半年ぶりに髪を切った日のこと、あるいは、ナッツのたくさん入ったチョコレート…

冷や汗をかく

「全部偽物です。だから気持ち悪いんです。」 食品サンプルを見るのが好きだ。やっているのか怪しい中華料理店のテカテカしたチャーハン、なぜかフォークが浮いているイタリア料理店のパスタ、泡まで固められた喫茶店のクリームソーダ。ケーキの断面や麺の光…

牛乳に浸すだけ

長方形では邪魔なものが写ってしまうから、正方形に切り取らないといけない。たとえば汚い部屋、たとえばあまり美しくない友人、たとえば憧れの気持ち。僕は、まわりをすべて線で囲まれている君に恋をした。黒目が大きい君に、肌の白い君に、脚の切れた君に…